林由美香は、’05年の誕生日の前日、30歳半ばにして急逝してしまいました。
AV女優としてデビューし、その才覚から映画女優へと駆け上り、海外の映画祭に招待されるほどの逸材に育つ最中の出来事でした。
特に上昇志向もなく、ただありのままに生きていましたが、その特異な存在感からそのような道を歩めたのでしょう。
一冊のSM写真集を撮るという企画が持ち上がり、その候補として林由美香があげられました。
その前段のカメラテスト的なスタンスで行われたのがこの撮影です。
ですので、顔だけ撮ったポジが100枚以上ありましたが、さすがにそれははしょりました。
この撮影の結果、撮影サイドは良いものが撮れると確信し、また林由美香自身も挑戦したいと思い、
この後、写真集の撮影に入っていきました。
普通、単体系のモデルはSMをやりません。名前が傷つくからです。
ノーマルなAVを幾本もこなしビデオメーカーを一回りした後で、SMに挑戦するのが常でした。
金銭効率を考えればしごく最もな采配です。
しかし林由美香は違いました。
初めての縛りで吊りにまで挑みました。
プロダクションも本人もソフトなSMから、というのが当たり前の考え方でしたし、
林由美香なら、吊りがない縛りだけでも充分売れる素質を持っていましたが、
ソフトに甘んじる気はなかったようです。
撮影後の飲み会の席で自分の信念について語る姿を覚えています。
酒豪と言っていいほど酒が好きで、本音で語り合う事を好んでいました。
自分が思った事は意地でも貫き通す男勝りな一面を持っていました。
そんな気質ですから、SMを経たモデルという傷物レッテルが貼られるわけもなく、
気がつけばAVから映画女優へと登っていけたのでしょう。
とにかく現場では、他のモデルと一味も二味も異なる強烈な存在感を発揮していました。
生きていたらどんな女優に育っていたのでしょう。