Hentaiという言葉が世界で認知されていますが、Kinbakuも同様に世界で通じるようになりつつあります。
この書は日本留学で縛りに開眼し40年に渡って緊縛を研究するLA在住のマスターKにより米国で出版された書籍の日本語訳です。
緊縛を日本の官能芸術としてアダルトエンターテイメントから切り離し綴っているのが特色でしょう。
すいれん舎刊「緊縛の文化史」マスター"K"著 山本規雄訳前作「Sibari, the Art of Japanese Bondage」(縛りー日本式ボンデージのアート)に続き2008年に出版された原作「The Beauty of Kinbaku」(緊縛の文化史)は65カ国で販売され来年にはペーパーバック版が登場します。
それだけ世界に緊縛を知らしめた書籍です。
この書は日本発祥の緊縛文化を真正面から見据え丹念に紐解き解明しようとする試みです。
縄文式土器に始まり神社の注連縄(しめなわ)・捕縛術から伊藤晴雨・美濃村晃・濡木痴夢男氏等の巨匠、
さらに現代で活躍する縄師・写真家・絵師などを細目に分類し解説しています。
巻頭の設問と答えが象徴的で印象深いでしょう。
<問い>「縛り」と「緊縛」の違いは何ですか。
<答え>「縛り」と「緊縛」という二つの語は実質的に同義であり、日本では両方とも長年にわたって使用されてきた。しかし「縛り」という言葉はより古く、一般的には「縛ること」「結ぶこと」を意味する一方、より近代的な言葉である緊縛は、「きつく縛ること」あるいは「性的な意味合いで縛ること」を意味する。(…中略…)すなわち「緊縛」とは、伝統的または歴史的方法にのっとり、美的な、または扇情的な、あるいはその双方の効果を狙って行われる「縛り」のことだと言える。
(「緊縛の文化史」序文より抜粋)緊縛を体系的に解説した本は希有です。日本文化史における「緊縛」を解読した良書が本書です。お薦めです。
また出版を記念し、紀伊国屋書店新宿南店にて10月23日(水)19時より著者トークイベントが開催されます。是非ご参加ください。